産業廃棄物を運搬・処分するためには、許可が必要となります。
ここでは、産廃物にあたるものが何かや、産廃業許可にどのような種類があるのかなど、産廃業許可について基本的な知識を勉強することにしましょう。
産業廃棄物とは?
一般廃棄物と産業廃棄物
そもそも廃棄物とはなんでしょうか?
廃棄物とは、固形状又は液状のもので利用したり売却することができないために不要となったものと「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で規定されています。
なお、次のものは廃棄物ではありません。
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また、廃棄物は、発生形態や性状の違いから、「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分類されますが、産業廃棄物が法律で定められているものに限られるため、それら以外はすべて一般廃棄物となります。
また、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性があって、他の人の健康や生活環境に被害を及ぼす恐れのあるものを、特に「特別管理産業廃棄物」といい、区分されています。
産業廃棄物処理業とは?
産業廃棄物を処理する責任は、その産業廃棄物を排出した事業者(排出事業者)にあります。
その処理は排出事業者が自ら実施する必要がありますが、産業廃棄物を処理するためには、「産業廃棄物処分業の許可」が必要となり、勝手に処理してしまうと不法投棄となります。
ですので、多くの排出事業者は、産業廃棄物処理業の許可を持っている処分場などに産業廃棄物の処理を委託することができるようになっています。
また、産業廃棄物の処理を処分場に委託する場合には、排出現場から処理場まで運搬することが必要となりますが、産業廃棄物を運搬するためには、「産業廃棄物収集運搬業の許可」が必要となります。
「産業廃棄物処分業」と「産業廃棄物収集運搬業」のふたつを合わせて、「産業廃棄物処理業」といいます。
産業廃棄物収集運搬業
産業廃棄物を収集し、処分先まで運搬する事業です。
運搬する産業廃棄物によって、以下の二つに分かれます。
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さらに、収集運搬の途中で、積替えや保管を行う場合と行わない場合とで区別があります。
積替え・保管を含まない
排出現場から収集した産業廃棄物を、中間処理施設や最終処分先まで積替えたり、保管したりすることなく、直接運ぶ場合をいいます。
積替え・保管を含む
排出現場から収集した産業廃棄物を、特定の場所でいったん積替えたり、保管した後、あらためて中間諸施設や最終処分先まで運ぶ場合をいいます。
産業廃棄物処分業
産業廃棄物を中間処理又は最終処分する事業となります。
処分する産業廃棄物によって以下のふたつに分かれます。
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さらに、中間処理と最終処分の2つに分かれます。
中間処理
焼却・破砕・中和等により、減量化、安定化することをいいます。
特別管理産業廃棄物については、無害化、安定化し、特別管理産業廃棄物でなくすこととなります。
最終処分
埋立て又は海洋投入( 原則禁止) により、廃棄物を自然界に還元することをいいます。
産業廃棄物の種類
産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥などの20種類の廃棄物と輸入された廃棄物(航行廃棄物及び携行廃棄物を除く。)とされており、民間の工場、ビル、商店などの営利目的の事業活動に伴って排出されるものや、水道事業などの公共の事業活動に伴って排出されるものも含んでいます。
産業廃棄物が混合した状態で排出されるものは、2種類以上の産業廃棄物の混合物とみなされ、例えば「洗車スラッジ」などは,廃油と汚泥の混合物としてとらえられます。
産業廃棄物の種類は以下の20種類となりますが、番号の横に※印の付いている産業廃棄物は、例に上っている業種の事業所から排出されるものに限って、産業廃棄物とされています。
また、事業活動に伴って生じた廃棄物でも、「紙くず」、「木くず」、「繊維くず」、「動植物性残さ」、「動物系固形不要物」、「動物のふん尿」、「動物の死体」については、指定業種以外の事業所から排出された場合は、一般廃棄物になります。
- 燃え殻
石炭がら,コークス灰,重油灰,廃活性炭(不純物が混在すること等により泥状のものは汚泥)
産業廃棄物の焼却残灰・炉内掃出物(集じん装置に補足されたものは,(19)ばいじんとして扱う。) - 汚泥
工場廃水等処理汚泥,各種製造業の製造工程で生じる泥状物,ベントナイト汚泥等の建設汚泥,生コン残さ,下水道汚泥,浄水場汚泥 - 廃油
廃潤滑油,廃洗浄油,廃切削油,廃燃料油,廃食用油,廃溶剤(シンナー,アルコール類),タールピッチ類 - 廃酸
廃硫酸,廃塩酸,廃硝酸,廃クロム酸,廃塩化鉄,廃有機酸,写真定着廃液,酸洗浄工程その他の酸性廃液 - 廃アルカリ
廃ソーダ液,写真現像廃液,アルカリ洗浄工程その他のアルカリ性廃液 - 廃プラスチック類
合成樹脂くず,合成繊維くず,合成ゴムくずなど,固形状及び液状のすべての合成高分子系化合物,廃タイヤ(合成ゴム),廃イオン交換樹脂なども該当する。 - 紙くず
建設業に係るもの(工作物の新築,改築又は除去に伴って生じたものに限る。),パルプ,紙又は紙加工品の製造業,新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る。),出版業(印刷出版を行うものに限る),製本業,印刷物加工業に係るもの
PCBが塗布され又は染み込んだもの(全業種) - 木くず
建設業に係るもの(工作物の新築,改築又は除去に伴って生じたものに限る。),木材又は木製品製造業(家具製造業を含む。)パルプ製造業及び輸入木材卸売業に係るもの
PCBが染み込んだもの(全業種) - 繊維くず
建設業に係るもの(工作物の新築,改築又は除去に伴って生じたものに限る。),繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く。)
PCBが染み込んだもの(全業種) - 動植物性残さ
(食料品製造業,医薬品製造業,香料製造業)原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物-醸造かす,発酵かす,ぬか,ふすま,パンくず,おから,コーヒーかす,ハムくず,その他の製造くず,原料かす(なお,卸小売業,飲食店等から排出される動植物性の固形状不要物,厨芥類は,事業系一般廃棄物となる。) - 動物系固形不要物
と畜場において屠殺し,又は解体した獣畜及び食鳥処理場において処理をした食鳥に係る固形状不要物 - ゴムくず
天然ゴムくず(合成ゴムくずは(6)廃プラスチック類) - 金属くず
切削くず,研磨くず,空缶,スクラップ - ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず
ガラスくず,耐火レンガくず,陶磁器くず,セメント製造くず - 鉱さい
高炉,転炉,電気炉等のスラグ,キューポラのノロ,鋳物廃砂,不良鉱石 - がれき類
工作物の新築,改築又は除去に伴って生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物 コンクリート破片(セメント,アスファルト),レンガの破片,かわら片などの不燃物 - 動物のふん尿
畜産農業に係るもの - 動物の死体
畜産農業に係るもの - ばいじん(ダスト類)
(大気汚染防止法に規定するばい煙発生施設,汚泥,廃油,廃酸,廃アルカリ廃プラスチック類の焼却施設)において発生するばいじんであって集じん施設(乾式,湿式)によって捕捉したもの - 処分するために処理したもの
特別管理産業廃棄物の種類
産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性があって、他の人の健康や生活環境に被害を及ぼす恐れのあるものを、特に「特別管理産業廃棄物」といい、特に管理が必要なものとして以下の5種類に区分されています。
- 廃油
揮発油類,灯油類,軽油類(引火点70゜C未満の燃焼しやすいもの) - 廃酸
著しい腐食性を有するもの(pH2.0以下のもの) - 廃アルカリ
著しい腐食性を有するもの(pH12.5以上のもの) - 感染性産業廃棄物
医療機関,試験研究機関等から医療行為,研究活動等に伴い発生した産業廃棄物のうち,排出後に人に感染性を生じさせるおそれのある病原微生物が含まれ,若しくは付着し,又はそのおそれのあるもの - 特定有害産業廃棄物
- 廃PCB等
廃PCB(原液)及びPCBを含む廃油 - PCB汚染物
PCBが塗布された紙くず
PCBが染み込んだ紙くず,木くず及び繊維くず
PCBが付着し又は封入された廃プラスチック類,金属くず - PCB処理物
廃PCB等又はPCB汚染物を処分するために処理したもので、厚生省令で定める基準に適合しないものに限られるもの - 指定下水汚泥及びその処理物
「金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める総理府令」に定める基準に適合しないレベルの有害物質を含むもの - 鉱さい及びその処理物
「金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める総理府令」に定める基準に適合しないレベルの有害物質を含むもの - 廃石綿等
- 建築物から除去した,飛散性の吹き付け石綿,石綿含有保温材及びその除去工事に用いられ,廃棄されたプラスチックシートなど
- 大気汚染防止法の,特定粉じん発生施設において生じたものであって,集じん装置で集められた飛散性の石綿など
- 廃PCB等
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